元号は現在日本にしかありません。改元は数10年に一度です。このことについて、各方面で混乱が生じています。
これらについての投稿をひとまとめにしました。
ご譲位と改元は同時じゃなければだめなの?-踰年改元 8/10記
改元にサマータイム…現場SEから不満の声。これでもやる気なのか?
もちろん伝統的な手続きの大事さもあるだろうが、1か月前に元号が決まる見込みで動いていたシステム開発現場のSE(システム・エンジニア)たちからは新たな意見に悲鳴が聞こえる。
これは、下のニュースにあるように、古屋圭司衆院議院運営委員長らが官房長官に新天皇即位後に新元号を発表するよう要請したことを受けてのものだと思います。
まぁ個人的には、数十年に一度しかないものだし、今となっては日本にしかないものなのだから、国民の側が合わせれば良いのではないかと思います。(サマータイムは余計だと思うけど)
上のニュースの人たちや、カレンダー業界の人たちは、自分たちの仕事がややこしくなるのが嫌なだけで、べつに「元号は廃止」とか「西暦に統一せよ」とか、そういった一部のイデオロギッシュな人達とは違うと思います。
問題なのは、イデオロギッシュな人達が、上のような人たちを大声で利用して「元号廃止」に持っていこうとすることです。
そんなことに利用されないためにも、上のニュースの人たちや、カレンダー業界の人たちをどのように納得させられるのかは考えた方が良い様な気がしています。
古屋圭司衆院議院運営委員長ら保守色の強い自民党議員は6日、菅義偉官房長官と首相官邸で会談し、新元号の制定と発表は来年5月1日の新天皇の即位後とすべきだと要請した。
今の元号法によると
・第1項:元号は、政令で定める。
・第2項:元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
今回は、「ご譲位は平成31年4月30日 改元は5月1日」という事になっています。
第1項の政令とはだれが公布するのでしょうか。
憲法改正、法律、政令および条約を公布すること(第7条第1号)
つまり、元号は政令で定められ、天皇の国事行為によって公布される、という事になっています。
さて、ということになると今回の場合、ご譲位前に今上天皇が交付するのか、ご譲位後に新天皇が交付するのか。こういったことになります。
どちらの方がしっくりくるでしょうか。後者のような気がします。つまり、前述の古屋衆院議院運営委員長らの言っていることは至極ご尤もという事になります。
となると、上のニュースの人たちや、カレンダー業界の人たちはいろいろと言い始めると。
以前も書きましたが、
「平成31年4月30日ご譲位 平成32年元旦改元」じゃだめなのでしょうか。(踰年改元)
元号を残すためにも、廃止派に変な理由付けを与えない方が良い様な気がしています。
少なくともこれまでの長い歴史を見れば、ご譲位と改元は同時である必要は無いように思います。
法改正が必要なら仕方ないのですが…。
今となっては日本にしかない元号、数十年に一度の改元 5/14記
元号の変更に伴って、行政でシステム不全を起こす可能性があるので、一定期間は「平成」を使用できるように検討するようです。
システム不全という事であれば、仕方のない事なのではないかと思いますが…。
混乱を招くようなことは、皇室の皆様も良しとは為さらないでしょうし。
税金や社会保障などに関わる行政システムの一部について、政府は新しい元号となる来年5月1日以降も「平成」の元号を一定期間使い続ける検討に入った。
昭和から平成に改元した当時に比べ、近年はコンピューターシステムを利用する仕組みが格段に広がった。システムによっては来年5月1日の改元日に新しい元号へ移行できるものもあるが、すべてのシステムを新元号に切り替えるのは困難と判断。
数十年に一度の改元
元々、改元というのは、天皇の代替わりと同時に行われるものではなかったという事の様です。
大災害や飢饉などの天変地異があって気分を変えましょう、といったような時であったり、逆に何かのお祝い事があった時などに替えていたのです。勿論天皇ご即位のための改元もありました。
奈良時代には「珍しい亀が見つかったから」という理由の改元もあった様です(笑)。また、漢字4文字という今となっては考えられないような元号もありました。
こちらに、元号や改元理由の一覧が載っています。
→日本の歴史学講座 年号一覧表
「祥瑞改元」となっているものの内のいくつかが「珍しい亀が見つかったから」という事なのでしょうね。「祥瑞(しょんずい)」というのは、「めでたい事のある前兆」の意味です。
代替わりと同時の改元は明治以降のお話であって、伝統を考えればそんなにカチッとした話ではないのです。
今は、昭和54年に成立した「元号法」という法律に定められていて、それを守らなくてはなりません。
・第1項:元号は、政令で定める。
・第2項:元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
しかし、この法律がなかったとしましょう。
歴史伝統を重視して考えた場合、今回の改元は
・「ご譲位は平成31年4月30日 改元は5月1日」
という事になっていますが、例えば
・平成31年元旦改元 平成31年4月30日ご譲位 であっても
・平成31年4月30日ご譲位 平成32年元旦改元 であっても
伝統としては問題ない訳ですね。
(というか、政令で何とかなるのかな?)システムの件は少し柔軟に考えても良いのかなと思います。
逆に、改元に絡んで、国民生活・経済活動への影響を言っている人がいますが、この場合は、国民の側が合わせれば良い様な気がします。
新たな歴史を刻むという意味で、カレンダーには新しい元号を自分の手で書き込む様にしたら宜しいのです。
今回の改元は、「天皇崩御」によるものではありません。お祝い事とは言いませんが、厄な事でもないのです。
日本の歴史を噛みしめるいい機会だと思うので、この時行われる儀式等をシッカリと目に焼き付けておけば宜しいのではないかと思います。
改元は数十年に一度の事で、滅多にない事なのです。
しかも、今の時代元号を使っているのは日本だけなのですから。