政府が日本へのサイバー攻撃に対し、米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約5条を適用するため米政府と協議に入ることが3日、分かった。
サイバー攻撃は主体を特定できない場合など武力攻撃事態の認定が難しいケースも想定されるが、日本政府関係者は「サイバー攻撃を武力攻撃とみなして日本が反撃するのであれば、日米安保条約をどう適用するかの議論は避けられない」と強調する。
記事にあるように、日本政府としては、サイバー領域について、NATO同様のものを日米安保にも適用したいと考えているということです。
NATOが2014年に採択した「ウェールズ宣言」では、サイバーについても集団防衛条項を発動する事が明確になっているとの事。
日本政府は、昨年12月の閣議決定で、サイバー反撃能力を保有を盛り込み、国民の生命にかかわるようなことがあれば「武力攻撃事態」と認定。自衛権の発動としての自衛隊による反撃は可能、としています。
つまり、サイバーについても武力攻撃と同様に、個別自衛権については保有し行使もできる、ということでしょう。
当然と言えば当然ですね。
という事が前提で、武力攻撃の場合と同様に日米安保5条を適用したい、ということでしょうか。
(1)宇宙・サイバー・電磁波の領域における能力の獲得・強化
領域横断作戦を実現するため、優先的な資源配分や我が国の優れた科学技術の活用により、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域における能力を獲得・強化する。この際、新たな領域を含む全ての領域における能力を効果的に連接する指揮統制・情報通信能力の強化・防護を図る。
ただし、武力攻撃と同様に、あくまで保有と行使は個別的自衛権であって、集団的自衛権については、日米安保の範囲内なのですね。
まぁ、憲法9条がある以上、他にやりようがないのかもしれませんが。
とにかく、サイバー領域についても、自国の体制整備や法整備はやっているようですが、結局はアメリカ頼み、という事になってしまいそうな感じです。
平和安保法制で
「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」
があれば、集団的自衛権が行使できるということになりました。では、米国がサイバー攻撃を受けた際はどうなるのでしょう?
サイバー領域についても「我が国の存立にかかわる」事がない限り、集団的自衛権は行使できない、ということでしょうか。
これを、米国政府がどう考えるのか。またトランプ大統領個人はどう考えるのか。
トランプ大統領は、中東や韓半島からは引き気味になっています。
限定的な集団的自衛権しか行使できない日本に対して、新たにサイバー領域でも「よろしくね」と言われてどう考えるのでしょう?
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以前どこかで書いたような気がしますが、憲法9条で言うところの「その他の戦力」の中には「サイバー部隊」が含まれるという事になるのではないかと思います。
であれば、「自衛隊は憲法違反」という憲法学者の見解を持って来れば、「サイバー部隊」もまた憲法違反になってしまうのではないでしょうか?