フランシスコ法王を枢機卿が批判、中国との合意で真の教会が「消滅」の恐れ
かつて香港で司教職を務めたジョセフ・ゼン枢機卿は25日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王が中国政府と歴史的合意に達したことについて、法王は中国の体制を理解していないと批判
法王は中国に対して譲歩し過ぎてしまい、合意の結果、中国政府によってカトリック教徒が迫害される下地がつくられたと批判。「合意は実のところ、中国における真の教会の消滅に向けた大きなステップだ」と主張した。
子供への性的虐待問題があるときに、中国との合意。チベット仏教への弾圧のこともあります。
宗教弾圧や、人権侵害の問題が言われている中国との同意は、そこら辺のことをどこまで考慮しているのでしょう。
ジョセフ・ゼン枢機卿の懸念は、中国の国内事情を良く分かっていて、その影響を受けている香港からのメッセージ。
バチカンは、これからどこへ向かうのでしょうか。
バチカン(フランシスコ法王)と中国・北朝鮮に関連したこれまでの投稿。
ローマ法王 事実上訪朝受け入れ 10/19記
ローマ法王フランシスコは18日(現地時間)、「北朝鮮から公式の招待状がくれば無条件に返答するし、行くことができる」と話した。韓国青瓦台(大統領府)が明らかにした。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日、バチカン(ローマ法王庁)で法王フランシスコを表敬訪問し、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が示した法王を平壌に招待する意向を伝えるとともに、金委員長が招待状を送っても良いかと尋ねた。
これに対し法王は「文大統領が伝えた言葉でも十分だが、公式の招待状を送ってくれればうれしい」と述べたという。
相変わらずの、文在寅大統領の伝書バトっぷりですが、それはそれとして、記事を見ると、
「韓国青瓦台(大統領府)が明らかにした。」
「と述べたという。」
法王が言ったとされる言葉を、「韓国青瓦台」を通じて、「聯合ニュース」が報じている、という事なのです。
他の報道機関の記事も大体こんな感じで、法王の直接の言葉として伝えられたものは見つけられませんでした。
大筋ではこのようなやり取りが行われたのかもしれませんが…。
以前から、朝鮮半島の平和プロセスには関心があった法王なので、あっても不思議ではないのですが。
でも、「法王の直接の言葉」がどこかに出ていないと、どこまで信じて良いのかわからなくなってしまいます。
一方、国交のある台湾からの招待は断るらしい。良く分からない。
バチカン(ローマ法王庁)は18日、台湾による法王フランシスコの招待を断ると発表した。バチカン放送が伝えた。
台湾にとってバチカンは、欧州で外交関係がある唯一の国。陳副総統による法王の招待は、バチカンの中国接近の動きを警戒し、外交関係の維持を確認する狙いがあった。
*バチカンが中国に接近するのは、カトリック人口の減少があるのではないかという意見もあります。↓
金正恩氏、ローマ法王を「熱烈に歓迎」 10/10記
韓国の青瓦台(大統領府)は9日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がローマ法王フランシスコを平壌に招待する意向であることを明らかにした。
金宜謙報道官は記者会見で「文大統領は10月17日と18日にバチカンを訪問し、朝鮮半島における和平と安定への支持を再確認する」と述べた。「大統領は法王と面会する際、金氏が法王を熱烈に歓迎する意向を伝える」と語った。
最近、文在寅大統領の口を通じていろいろなニュースがもたらされることが多いです。
「金正恩が○○と言った」「トランプが△△と言った」などなど。
かつての盧武鉉氏も「等距離外交」「バランサー」と言って大国間外交をやろうとしていましたが、弟子の文大統領もこの辺を引き継いでいるのでしょうか。
ただ、残念ながらどうしても「伝書バト」感は否めません。
・正恩氏、早期の米朝首脳会談希望=「非核化、早く終えたい」-文大統領
・文大統領、年内の終戦宣言打診へ 24日に米韓首脳会談
・文在寅大統領が表明「近く金正恩氏の訪露と習近平氏の訪朝が実現」
などなど。探せばいっぱい出てきます。
ローマ法王の関連で言えば、先日中国とバチカンで「歴史的合意」というのがありました。
それと関係があるのかないのかはわかりませんが、それを見て文大統領が、北朝鮮に提案したのではないかと勘繰ってしまいます。
中国と合意できたのだから、北朝鮮とも…と。実際はどうだかわかりませんが。
ローマ法王はどう判断するのでしょう。中国や北のような独裁国は、こういったものまで政治利用しようとします。
法王は以前、北朝鮮情勢について以下のように述べていました。関心はあるのでしょう。
ローマ法王、北朝鮮問題の外交解決求める 戦争なら「人類が破壊される
だからと言って、政治利用されるようなことがないようにお願いしたいところです。
バチカン、司教任命めぐり中国と歴史的合意 9/23記
バチカン、司教任命めぐり中国と歴史的合意 中国任命の司教7人を承認
バチカン(ローマ法王庁)は22日、中国国内での司教の任命をめぐり歴史的合意に達したと発表した。中国の共産党政権はこれまで、政府が公認するカトリック教会で独自に聖職者を選任していた。
合意は「政治的なものではなく宗教的なもので、信者がローマ法王庁と一体ながら、同時に中国当局によって承認された司教を、信者たちが持つことを可能にするもの」と評した。
これまで何年も話がまとまっていなかったのに、突然合意に達したのという。
というか、合意の内容がハッキリとしていないので、続報を待ちたいところです。
どちらかが一方的に妥協して合意したとは思えないので、双方が歩み寄った結果なのではないかと思いますが…。
気になるのは台湾のこと。バチカンと言えば、台湾が欧州で唯一国交のあるところ。
これまでいくつかの国が、中国からの圧力で台湾との外交関係を解消しています。
今回もそういうことがあるのかどうか。
今のところ台湾の外交部が、
台湾「外交関係に影響せず」 中国との暫定協定、バチカンから説明と発表
「バチカン側から、協定は76年目に入った台湾との外交関係に影響しないとの説明を受けている」
という報道文を発表しています。どこまで信用が置けるのかどうかはわかりませんが、変な合意内容でないことを願っています。
上の方でも書きましたが、双方が歩み寄ったとすれば、中国側も何らかの妥協をしたのかもしれません。
中国としては、対中批判を和らげたいという思いもあるのでしょうか。